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普段の圭介なら、ゴメンと謝り手を差し出しただろう…
今の圭介は、ぶつかり倒れながらも、這いつくばって玄関に向かう。
子供を見たせいか、腰が抜けて起きる事が出来ない、転んだ子供を放り出し、腕の力だけで前に進む。
ガシッ。
子供に足を捕まれた。
「うわー許してくれ…
…もう…お菓子ないんだ…」
子供は少しづつ、ゆっくりと圭介の顔に近づく。
子供の顔が圭介の目の前に来る。
「そっか、お菓子ないんだね。」
恐怖で、声にならない、
キー、キー、としか聞こえない発音で、
助けて、と言った。
すると子供の顔が歪み始める。
仮装とは別の姿に変わろとしていた。
喰われる…喰われる…
唯…美子…ごめんな、父さん食べられちゃうよ。
子供が圭介のスーツをしっかりと掴み、かぶり付く準備をする。
もう、かじられる。
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