ハロウィン

12/15
前へ
/74ページ
次へ
普段の圭介なら、ゴメンと謝り手を差し出しただろう… 今の圭介は、ぶつかり倒れながらも、這いつくばって玄関に向かう。 子供を見たせいか、腰が抜けて起きる事が出来ない、転んだ子供を放り出し、腕の力だけで前に進む。 ガシッ。 子供に足を捕まれた。 「うわー許してくれ… …もう…お菓子ないんだ…」 子供は少しづつ、ゆっくりと圭介の顔に近づく。 子供の顔が圭介の目の前に来る。 「そっか、お菓子ないんだね。」 恐怖で、声にならない、 キー、キー、としか聞こえない発音で、 助けて、と言った。 すると子供の顔が歪み始める。 仮装とは別の姿に変わろとしていた。 喰われる…喰われる… 唯…美子…ごめんな、父さん食べられちゃうよ。 子供が圭介のスーツをしっかりと掴み、かぶり付く準備をする。 もう、かじられる。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加