警泥【ケイドロ】

１

と。
この教室に向かってくる足音が聞こえた。
「来たっ」
ナルトがニンマリとした笑顔でシィっと人差し指を口の前に当てる。
一歩一歩大きくなる足音に、悪巧み仲間以外の者達も思わず息を潜めた。
そして、彼は教室の前で止まる。
「入るぞ。しっかりやってるか－？・・・・・・お？」
何かに気づいたような声色。
ほら、やっぱり。
テマリはほくそ笑んでナルト達の顔色を窺うが、彼らは変わらぬ表情。
少し首をかしげる。
と、ドアの向こうでため息が聞こえた。
「またナルト達か。こんな安い手に俺が引っかかると思っているのか。」
距離を置いて、ガラリとドアを開ける。
黒板消しが虚しくぽふっと堕ちた。
「お前達もなぁ、もうちっと大人に・・・」
もう安全だと思ってしまったのだろうか。
教室に入った途端、ピンと張った糸に彼の足が引っかかる。
「え・・・？」
下を向いたがもう遅い。
彼はそのまま、傾いたバケツからこぼれ落ちた水（雑巾を洗ったヤツ）を頭から被った。
二重トラップ。