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「あんたそれで彼氏できじゃん」
「それがさ、付き合ってからも合コン行ってたの! あたしが好きとか言って他の女にも言ってたみたいだし」
「でもさ、フッたから良かっじゃん。それでフラれたらショック」
連中のひとりが私に気づき、おしゃべりが一気になくなった。
「あ、お疲れ様です。葛城先輩」
「お疲れ様。合コン楽しんできてね」
「……はい」
一ヶ月経ったとはいえ、私たちに関するウワサは消えていない。
特に、残された私の立場は最悪。
デリカシーのない上司からの同情。
憐れみの視線を向ける先輩後輩。
好奇心剥き出しの男共。
会社を辞めようにも、養ってくれる人がいるわけでもない。
年齢的にも転職するには厳しくなってる。
それに比べて……
「……やめやめ」
こんな空気が悪いところにいるから考えも暗くなるんだ。
「早く帰ろ」
さっさと着替えて会社を出た。
夕飯を作る気力がなくなったので、マンションの近くにあるコンビニに寄った。
商品を見たら食欲も沸くかと思ったが、なんだか食欲まで失せた。
「あの」
声のしたほうに顔をあげると、見知らぬ男性がいた。
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