『文字があって良かった』―家族編―

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  * リビングには完成した料理が並べられていた。 料理はシチューとシーザーサラダとバターパン。 俺はテーブルに座り、いただきますと言った。 有生は嬉しそうに笑って自分も合掌した。なにも言わずに。 「………。」 「………。」 食事の間はいつも終始無言。 有生は耳が聴こえない、俺は口下手だから自然とそうなる。 食事を終えると有生は俺にスケッチブックを渡してきた。 ”今日はぼくだけが難しい問題を解けたんだ” 俺は言葉を読み終わるとスケッチブックに書いた。 ”すごいな、兄ちゃんはそんなことなかったからうらやましいよ”  
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