『しーちゃんへ』―恋愛編―

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  渡された手紙は三枚あり、一枚目にはそう書いてあった。 ……アイツの前で元気に走り回ったすがたを見せたことないのに。 アイツは少し強気でとくに外に出れる日には走るまいと足が忍び足になっていた。 だからおれはアイツの前では絶対に走らなかった。 おれにつられて走ると思ったから。 これは病院を抜け出して着いてきたことあるな……。 おれの頭の中で周りを不自然なくらいキョロキョロしながら、おれをストーカーするパジャマすがたのアイツが浮かぶ。 周りの大人はどう思っただろう? 「志真くん笑ってるの?」 「え?おれ、わらってる?」 おばさんに言われて自分のほっぺたを触る。 すこしほっぺたが上がっている気がした。 「希愛が変なこと書いていたの?」 「…まあ。アイツどうやら病院抜け出してたまにおれをストーカーしてたっぽい」 「え?そうなの?」  
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