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晴天だった。
空は絵の具を塗ったように青く、ところどころにはちぎれ雲が浮かんでいた。
二月の初旬にしては暖かく、比較的過ごしやすい今日この頃。
俺、久遠 洸哉(クオン コウヤ)は河川敷の芝生の上で寝そべっていた。
時刻はお昼の少し前、日付は二月二十九日――どうでもいいことだが今年は閏年だ――の月曜日。
冬休みなんてとっくの昔に終わっている。本来なら学校にいる時間だが、俺の通う中学校の三年生の三学期は、高校入試のための講習会に参加する生徒以外は自由登校となっている。そのため、俺を含めた推薦組は遊び放題の気楽な身分になっている。
要するに、俺の義務教育はもう終わったようなものなのだ。
というわけで、友人と遊ぼうと思っていたのだが、全員に受験勉強で忙しいと恨みごとと共に言われてしまった(頑張れよ、と言ったらブン殴られた)。
そんな訳で、推薦進学が決まっていて部活に所属していなかった俺は、結果的にする事がなくなってしまった。
まあ、ぶっちゃけてしまうと暇だ。
「ハァ……」
本日何度目になるかわからないため息をつく。
暇すぎて何を血迷ったのか河川敷で寝そべるという遊びを実行中なのだが、……面白くもなんともない。ただ恥ずかしいだけだ。
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