001.暇は異世界への道標

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「こんなんがあと一ヶ月も続くのか……」 そんなこんなで、高校入学までの約一ヶ月間、この退屈に耐えなければいけない。そのことにげんなりしながら俺は、家への帰路を歩いていた。 家に帰っても昼寝くらいしかすることがない。ゲームはやり尽くしたし、本は見飽きた。新しく買い足すほどの金もない。 いっそのこと高校が始まるまで寝ていられたらいいのに……。 「はぁ……」 ため息をつかずにはいられない。ため息をつくと幸せが逃げるというが、幸せじゃないからため息をつくんじゃないだろうか。 そんなことを考えながら歩いていると、 『…………。………………!』 不意に誰かの声が聴こえたような気がした。 その声が俺を呼んでいるような気がして、反射的に辺りを見渡す。が、周りには誰もいない。 じゃあ上か? と思って上を見るが違う。青空が広がっているだけだ。 気のせいか……? きっとそうだ。暇すぎて、とうとう頭がやられたらしい。くそう……今の、他から見たら、道端でキョロキョロしてる、挙動不審なヤツに見えたるんだろうな……。 とっとと帰ろう。そして寝よう。 そう思って歩きだそうとした、その時。 「……痛ッ!」 頭に激痛が走った。 いきなりの壮絶な痛みに立っていられなくなり、糸の切れた操り人形のようにコンクリートの地面に倒れる。
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