4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぐ……が、ぐぁ……ッ!!」
助けを呼びたいのに、口からは呻き声しかでない。携帯も家に置いてきてしまった。
そして頭に響く痛みは徐々に強くなってくる。
「う、が、あぁぁぁッ……あ、ああぁぁ……」
堪えきれずに漏らした悲鳴も、掠れた呻きにしかならず、段々と意識も途切れ途切れになってきた。
(ああ、俺死ぬのかな……)
なんてことを呑気にかんがえて、俺は意識を手放した。
意識が途切れる直前、またあの声が聴こえたような気がした。さっきよりもはっきりと、鮮明に……。
■□■□■□■□■□■□
唐突に意識が回復した。
自分の姿勢を確認する。
どうやら頭痛で気絶した時と同じ体勢で寝転がっているようだった。
頬から、ひんやりとした石造りの床の冷たさが伝わってくる。
あれ……石造り? 俺が倒れたのはコンクリートでできた道路の上じゃなかったっけ?
身体を起こして周りを確認する。
俺が今いるのは薄暗い路地裏のような場所だった。大きな通りが近いようで、賑やかな喧騒がきこえてくる。
そうやって周りを見渡して初めて気づいた。
俺をみて固まっている――紅い鎧に身を包んだ女の子の存在に。
「…………」
状況は全くわからない。だが、こんなとき、まともな人間は俺と同じようなことを思うだろう。
……ここはどこだ!?
最初のコメントを投稿しよう!