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02.
ショーウィンドーに映る自分の姿に思わず足を止めた。
そして家でも念入りにチェックしてきた自分の姿を再度確認する。
「うん。完璧ね」
あの後、ほとんど意地になってしまった私は遊園地に行くという約束を取り付けた。
そして今から彼との待ち合わせ場所へ向かうところだ。
昨日の夜に何度も何度も考え直して、今日のファッションと髪型が出来上がった。
白いワンピースに淡い色のジャケット。
その服に合わせていつもツインテールの髪はおろして、ゆるく巻いてきた。
それからメイクはいつもよりナチュラルにして、いわゆる『清楚女子』の出来上がりよ。
どうよどうよ!
第一関門の見た目はこれで完璧でしょう?
私の姿を見て目を丸くする黒田の姿を想像して思わずにやける。
早くびっくりする顔を拝みたいわ!
にやけた顔を引き締め、ショーウィンドーで1度笑顔を作ってから再び歩き出した。
* * *
「おまたせ!ごめんね、遅れちゃって」
待ち合わせ場所には、少し遅れて到着する。これって基本よね。
ベンチに腰を掛けて携帯をいじっていた黒田は私の声に気付いて顔を上げると、そのまま私の事をじっと見ている。
さぁどうよ。
どうせ私の見た目にびっくりしてるんでしょう?
しかし私が彼の目の前に来ても、その顔は私の事を見たまま停止している。
もしかして、予想以上に私がかわいすぎて声も出ないの?
ざまーみろだよ本当に。あんなに馬鹿にした自分に後悔してるんでしょ。
勝った!と心の中でガッツポーズをした瞬間、今まで黙っていた黒田が急に笑い出した。
「あはははは」
え・・・なに、どうしたの?
もしかして狂っちゃった!?
いやそんな事までは望んでないよ、私!
「あんた・・・あんたさぁ」
黒田は笑いが止まらないらないらしく、苦しそうに私に声を掛けてくる。
「な、なによ」
「・・・・そのワンピース、タッグついたまんまだよ。あはは」
その言葉に今度は私が固まる番だった。
嘘・・・嘘でしょう!?
慌てて首の後ろに手をまわすと、手に硬い紙が当たる。
前ばかり確認してたから気付かなかったんだ・・・。
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