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始めっから大失敗じゃない。
目の前の男は未だ笑い続けてるし...もう嫌だ。
最悪...恥ずかしいし、何より情けない。
だってこんなに決めて来て、その結果タッグが付いてるって笑われるんだよ?
鏡で何回もチェックしたのにどうして気づかなかったのよ、私は。
「んな泣きそうな顔するなよ」
急に頭上から声がすると思ったら、黒田が既に立ち上がってこっちを見ていた。
「べつに...泣いてなんか...」
「強がっても得することなんてないと思うんだけどなぁ...。お前いろいろと損ばっかしてそうだし」
「なっ!?」
それってかなり失礼じゃない!?
そんなことないと反論しようとすると、彼はいきなり私の背後に移動し始めた。
「ちょっ何しようとしてんのよ!」
「いいから、じっとしてろ」
振り向こうとしても肩をがっちりと押さえられてるから動く事ができない。
じっとしてろって言ったって、すんなりハイなんて言えるわけないじゃない!
背後だから彼が何をやっているか見えないから、きが気じゃない。
「ねぇ、何やってるかだけでも教えてくれない?」
抵抗するのを諦めて後ろの彼に尋ねる。
「タッグを取ってやろうとしてんだよ。感謝しろよ?」
そのまさかの返答に思わず度肝を抜かれた。
「なに?あんた普段から刃物を持ち歩いてるの!?物騒ね!」
「は?持ち歩くわけないだろう」
「じゃあ、何で切ろうとしてんの!?」
「そんなん、手で切るに決まってるだろうが」
その言葉に呆気にとられる。手で切れるわけないでしょう。
それなのに彼の口ぶりは当たり前とでも言うかのようだった。
もしかして、コイツ思った以上にアホ?
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