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橘美幸は信濃川上駅を出て呟いた。
「まだ来てないのかな?」
従姉の恵子が迎えに来る予定だった。
恵子は美幸より三歳年上の母方の従姉。
長野に旅行をした時に偶然知り合った人と恋に落ち、故郷から遠く離れたここ川上村に嫁いだ。
美幸には6月だと言うのに少し肌寒く感じた。
それは、川上村が高原だからか、美幸の心が沈んでいるかは解らなかったが、少し身震いし旅行鞄を持ち直す。
美幸は長野に来るのは初めてだった。
「空気が美味しいな」
景色を見ながら深呼吸する。
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