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婚約者が他の女性と付き合っていたのもショックだったが、一番ショックだったのは婚約者の親の言葉と婚約者の態度だった。
「やはり、両親が揃ってるお嬢さんじゃないと、息子の嫁には相応しくない」
父親が居なくても、母は頑張って育ててくれた。
それを身にしみて感じていた美幸には、母に会って人柄を知っている婚約者が親の言いなりで母を駄目な親だと言った。
母に感謝はしていたが、それでも、やり切れない思いから婚約破棄され八つ当たりした。
「なんで私には父さんが居ないの?なんで離婚なんてしたのよ」
泣きながらヒステリックに言う美幸の言葉に、母は辛そうに
「ごめんね…母さんも努力したんだけど」
と言いそのまま黙り込んだ。
それ以来、母との関係もギクシャクしたまま…
『ここで気持ちを切り替えなきゃ』
美幸は自室にと案内された部屋に荷物を置き、恵子が居る居間に戻った。
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