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泣きすぎて腫れた目が鈍い痛みを伴い始めた頃、ぽつりと稜が言った。 「…征吾、見合いも病院の跡継ぐのもやめようとして親父とケンカしたんだと」 「…それ、いつの話?」 「お前が勝手に北海道行きを決めた少し前」 「どうしてそれ―」 「征吾から絶対美夜には言うなって口止めされてた。言ったらお前、ここには来なかっただろ」 稜は遠くを見つめたままそう言った。 喉の奥にこもった熱がぐっと身体を締め付ける。 「…まぁ結局征吾も親父には適わずだったから、言ったとこでどうにもならなかっただろうけど」 そう付け加えた稜は、こちらを向いて淋しそうに笑った。
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