不良と腐女子

5/5
前へ
/25ページ
次へ
小馬鹿にしたように喋る片倉。 周りの奴らは喋りまくる片倉にも、 初めてみる片倉の顔にもめちゃくちゃ驚いていた。 「めちゃくちゃ可愛い」 誰かが、ボソッと呟いた瞬間。 俺の隣で見ていた岩崎や梶谷や櫻井も、 うんうんと強く頷いていた。 確かに片倉は桁外れの美少女だが、 今までキモいだのヲタクだの、 ぬかしてきた奴らが、 片倉を急に褒めだすのは苛つく。 そうか、俺はいつもの、 俺だけに優しい片倉が好きだったのか。 そんなことを思いながら、 呆けている女子の集団の所に向かい、 声を大にして宣言した。 「あのさー、俺が好きなのは片倉だから消えてくんねーかな?」 俺が叫んでから数秒後、女子の集団は、 泣きながら教室を出ていって 教室にはギャラリーから歓声が沸き起こった。 まぁ、告白したところでどうこうなりたい訳でもねーんだ。 今まで通り友達として付き合えりゃ良い。 そんなことを思って宣言したんだが、 片倉は俯き肩を震わせている。 流石にまずいこと言ったかな、と片倉に謝ろうとした瞬間。 俺は信じられない言葉を耳にする。 「早川、わたしは女なんだよ? 早川は岩崎くんが好きでしょ?勿論、性的な意味で」 「・・・・・・・は?」 ハァハァと息を荒げながら言う片倉の言葉に 俺は耳を疑った。 そして、これが悪夢の始まりということを すぐに知ることとなる。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加