魔法少女は存在する

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 彼女が欲しい。 彼女が欲しい。 彼女が欲しい。  流れ星が消える前に願い事を三回繰り返す、とそれが叶うとかなんとか。 それを実践するのは大体幼稚園くらいの子供か、夢見る乙女か、それじゃなければよっぽど暇人か。 もしくは、そんな考察をしているくせに思わず願ってしまった、俺、とか。  夜も更けまくった午前三時。 自室から出れるベランダの柵に寄りかかり、俺は星を見ていた。 千堂桐(せんどうきり)十六歳、高校一年、眠れずに夜更かし中。 部活動にも入っていないし、友達とゲームセンターで遊んできたものの、腹が減って家に帰ってくる。 ほぼ同じ、繰り返しの日々は平和で、平凡。 そんな日々は退屈でもあり、不満という不満はないものの、飽きていて。 友人の何人かはいつの間にか彼女が出来ていて、そういう奴らと遊ぶ事が減ったように思う。 友人より彼女、なんてわかっているつもりだけど、多分この気持ちは寂しい、よりも。
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