▲    プロローグ

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出会いは平凡だった。 同じ中学でクラスが隣、委員会が一緒。 その委員会で仕事が一緒になって初めて 話すようになった。 「図書委員って案外面倒くせえのな」 「楽そうだったから入ったのにな~」 「俺もだよ~…。 選択ミスったかな俺」 もともと彼はクラスの中心にいる 様な明るい人だった。 だから少し人見知りしちゃう私でも、 すぐに打ち解けることができた。 図書委員の仕事がいつも一緒で、お互い に意識をし始めるのにそう時間はかから なかった。 「俺、伊藤のこと好きかも」 お互いを意識する時期が1年ほど続いて、 中学2年の冬、彼と付き合い始めた。 「わりぃっ、待った?」 「んーんっ!全然!」 「…嘘、鼻赤くなってるよ」 「嘘っ!」 「ははっ、顔も冷てー!」 サッカー部の彼を待って靴箱で待ち合わせ。 手袋をした彼が私の冷えた頬を包み込んで くれる。 私の手を繋いで自分のポケットに入れて 歩き出す彼。 歩調を合わせてくれる彼の優しさに、 また惹かれていくのが自分でもわかった。
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