朝の夢心地

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また、頭の中で警告音が鳴った。 これ以上は考えてはいけないらしい。 でも、凄く大事な事のように思えて、 しばらくは警告音だけが僕の耳を 外部音から遮断させた。 だけど、 前を向いていれば良い。 振り替える必要はない。 後ろからズタズタにされた仲間が 僕を引きずり込もうとしている。 これ以上喰われる訳にはいかない。 見失いたくない。 それが春花にとって残酷な事でも、 もう少しだけで良いから、 僕の我が儘を聞いてくれないか……? ポチャン 「っ……。」 いつものように誰にも届かない願いが消去される筈なのに、微かに水が跳ねた ような気がしたその瞬間、ピリッと電流が 走った。 「何なんだよ……。」 胸の奥が熱い。 まるで自分が放電しているかのように 威力は少しずつ強まる。 僕は近くにあった電柱に寄りかかり、 痛みをやり過ごしながら、 これも何かの感情なんではないか? なんて、また僕は無意識のうちに 思考回路をフル回転させていた。
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