静かに。

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土の匂いがする。 『は? このくらいかよ』 ドカッ すぐ横では ありが歩いている。 (今の状態だと、ありの方が動けるな…) そんな事を ボーッと考える。 『もっと持ってこいよ』 『お前ん家 金持ちだろ?』 バキッ 顔を殴られる。 口から一筋 赤い液体が流れる。 (あ…口…切れたな…) 「も…持ってないんだ…」 土が邪魔をして、はっきりしゃべれない。 ぐりっ… 頭に衝撃が走った。 髪が プチプチといってちぎれる。 (踏まれてるのか…) 『嘘ついてんじゃねーよ』 別に嘘はついていない。 本当にお金がないんだ。 お前達のせいで。 僕に期待している、優しい両親を、お前らの為に騙しているんだ。 これ以上はもう騙せない。 『明日までに5万持ってこい。持ってこなかったら、殺すからな』 (殺せるものなら殺してみろ) そう言いたかった。 けど… 僕は言いたいことも言えずに、ただ、歯を食いしばるだけだった。
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