( ノAヽ)鍵をなくしたようです

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( ノAヽ)「今日の夕飯はオムライスに決まーり、イッツァディオルなノーネ」 家から自転車で十分ほどの大型デパートの駐輪場で、 家の鍵を自転車のかごに投げ込みつつ呟いてみる。 生まれてこの方彼女は一度も出来ないままに毎年一つずつ歳を重ね、大学を卒業し、 一人暮らしを始め、気付けば教師になっていた。 なんとなく日々を過ごす内に上達した料理の腕も振る舞う相手が自分じゃあ、 ちょっと、情けないとは思うけれど。 それなりに楽しいのもまた事実。 ( ノAヽ)(職場にめぐまれたノーネ) 個性的な生徒と一緒に学校生活を送ることは学生時代とはまた違った楽しさがあるのだ。 なんとなく気分が良くなって、鼻歌を歌ってみる。 歌、といえば僕は超のつくほどの音痴らしい。 らしいというのもおかしな話だけれど、自覚がないのだから仕方がない。 友人にことあるごとに指摘されていても冗談だと思っていたくらいだ。 ついこの間生徒にその話をした時に一曲催促され、 僕の十八番であるメリッサをワンフレーズも歌い切る前に大爆笑をもらったのだから、 認めざるをえないのだけれど。 ふいにチャリン、と音が聞こえた。
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