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( ノAヽ)「ノネ?」
後ろを振り向くと、銀色の鍵。
そのちょっと先にいるおじいさん。
ピン、ときてその場に自転車を止めて、降りて、鍵をひろって声をかける。
( ノAヽ)「おじいちゃーんちょっと待つノーネ、これ落としたノーネ」
足をぷるぷるぷるぷるさせながら歩いていたおじいさんは立ち止まり、
驚いた表情を作って、やがてにっこりと笑った。
/ ,' 3「おお、おお、わしの鍵じゃあわしの鍵じゃ。ありがとうな」
( ノAヽ)「どういたしまして、ユアウェルカムなノーネ。
でも僕はお礼を言われるほどのことはしてないノーネ。」
/ ,' 3「そうかいそうかい」
( ノAヽ)「それではお気をつけてなノーネ」
/ ,' 3「ふぉっふぉっふぉ」
さっきより少しだけ良い気分になって自転車にまたがる。
やっぱり、こういうなんでもないことに小さな幸せを感じられる今の日々は、とても楽しい。
家に帰ったら机に置きっぱなしにしている残りのテストに丸付けをしよう。
休憩がてら夕飯を食べて、明日には生徒達に返せるようにしよう。
今回の単元テストはなかなかいい結果だったはず。
( ノAヽ)「きっとみんな喜ぶ、ビーグラッドなノーネ」
何人かの残念そうな顔も目に浮かぶけれど。
開き直るような奴には居残り勉強会でも開いてあげようか。
そうこう考えているうちにあっという間に家の前。
僕の何でもない一日の、何でもない夕飯の買い出しはこれで終わり。
「ノネ?」
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