あなた色に染まりたい

ストーカー

「紗羽、大丈夫？」

「……」

怖くて声が出ない。

「手ぇ繋ぐ？」

どうしよう。

ダメだってわかっているのに、あまりの怖さに繋ぎたいって言いそうになる。

でも首を横に振った。その瞬間──

「紗羽ちゃん」

き、きたっ！

後ろから呼ばれたけれど振り向きたくない。

「紗羽になんか用？」

晴希が振り向いて、伸びてきた手から守るようにあたしを晴希の後ろに隠してくれる。

「おまえ関係ねえじゃん！」

鳴海くんが声を荒げる。

「おまえの方が関係なくね？　今、俺が紗羽と一緒にいるんだけど」

裾を握る手にぎゅっと力を入れる。

「デートしてくれる気になった？」

晴希の言葉を無視して話し始めた鳴海くんに首を大きく横に振る。

「嫌だってさ」

「だからおまえに訊いてねえんだよ」

「だとしても、嫌がってんのがわかんねえの？」

「紗羽ちゃん、嫌がってねえよな？」

最初から断っているのにそれを全く耳に入れてくれなくて。

この異常なまでの執着心が怖い。

怖すぎるよっ！