6944人が本棚に入れています
本棚に追加
衣替えの時期になり、明るかった服も茶色や黒の秋色が目立つようになってきた。
今日も晴希と一緒に講義を受けている。
バースデーパーティーで、晴希が言っていた恋のお話があまりにも切なくて凄く気になっていた。
「どうなった? その後は」
「は?」
突然主語もなく振られた話題についていけるわけもなく、晴希は顔を歪める。
「ほら、この間言っていた人妻との恋よ」
晴希はあたしの顔をじっと見て小さく息を吐いた。
「あれ、ほんとに人妻だと思ってたんだ?」
「え、違うの?」
人妻じゃない?
晴希の思いがけない言葉にどうしていいのかわからない。
「紗羽は気付いてると思ってたんだけどな」
「何で?」
あたかもあたしが知っているような口振りだけれど、あたし、何も知らないよね?
最初のコメントを投稿しよう!