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「でもさ、なんか近づいてこねえ？」
悟は野次馬心が働いたのか、「ちょっと見てくるわ」と言って食堂を出ていった。
「なんだか悟らしいね」
「はは、ほんとだよな」
「帰ってきた時の悟の顔は、きっと優越感に浸ってキラキラしているんだよ」
美香は“はぁー”と溜め息を吐きながらそう言ったけれど、
「そういうとこも好きなくせに」
「なっ！」
図星をつかれたのか、美香の頬が一気に赤くなっていく。
ふふ、可愛い。
ほんとに好きなんだろうなぁ。
「あ、悟」
出ていってから、全然時間が経っていないのにもう戻ってきた。
でもなぜか凄くあたふたしていて。
「紗羽！ 大変だ！」
「え、何？」
悟の慌てようは半端ない。
「大輝さんがっ……」
「え？」
「大輝さんが来てるっ！」
悟の口から飛び出してきた言葉に、頭の中が真っ白になった。
みんなが周りで何か言っているんだけれど、何も聞こえない。
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