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しばらくその場を動けなかった。
フェンスに寄り掛かって座り、大輝に言われたことをずっと考えていた。
最後に抱かれた日……。
あの日は三月の終わりで、凄く天気のいい日だった。
それまではずっと寒い日が続いていたから、『やっと春が来たね』なんて言いながら遊園地に行ったんだ。
いっぱい乗り物に乗って、ソフトクリームを食べて。
そのあと大輝の部屋へ行った。
そこで抱かれたんだ。
でもなんの会話をしたのか、まったく思い出せない。
空を見上げた。
あれ……?
あたし、いつからここにいるんだっけ……?
携帯で時間を見てみる。
「……!」
なんだ、これ……?
着信が8件?
蓮と美香と悟と晴希の名前で埋め尽くされていた。
「やば……」
すぐに蓮に電話を掛けながら、屋上をあとにした。
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