記憶

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◇ 「さむっ」 涙が止まって少し落ち着いたら寒くなってきた。 「中に入るか?」 やさしい声でそう言った蓮を見上げる。 「蓮、明日帰ったらちゃんと話すから」 「ん」 部屋に入ると、美香は酔い潰れて寝ているし、悟と晴希は二人で熱く語り合っていた。 「あ、蓮。おまえはどう思うよ? 人妻って」 悟がこっちに視線を移すなり、そう声をかけてきたけれど、熱く語っていた内容がそれ? あたし、気まずいじゃん。 「人妻っすか? んーでも、好きになったら止められないですからね」 ちらっと晴希を見ると、晴希もこっちを見ていて目が合った。 すぐにそらしてしまったけれど、この話題はかなり気まずい。
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