記憶

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「紗羽はどう思うよ?」 「え、あたし? そんなのわかんない。あたし男じゃないし」 まさかあたしに振られるとは思っていなくて、少し動揺してしまった。 でもそんな様子に全く気付かない悟は、さらに答えに困るようなことを訊いてくる。 「じゃあ人の旦那だったら?」 「それ訊いてどうするの?」 「何となく聞いてみてぇんだよ」 この人妻の話が晴希の話だってわかるから余計に答えられない。 そしてこの状況から救ってくれたのは、 「悟黙れ」 ちょっぴりイライラしているように感じる晴希だった。 そしてあたしの方は一切見ずにさらに話し続ける。 「人妻じゃねぇよ。あん時説明すんのが面倒だったから適当に頷いただけだ。でもあながち間違ってねえけどな。人の女だからさ」 「……マジ?」 「ん、しかももう振られてっし」 「そっか。うちの大学の子?」 悟と晴希の間で広げられていく話を聞きながら、これはあたしのことなんだと思うと凄くどきどきしてきた。 「まあな、二回コクったけど一回目は気付かずに流されたんだよな。『好きだ』つってんだから普通気付くだろ」 ちょっ、そんな言い方! つい反論してしまった。 「あれは晴希の言い方が悪いんじゃん!」 「は?」 見事にハモった蓮と悟の声。
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