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「懐かしいな、……もう三年か」
大輝は辺りを見回しながら口を開く。
「紗羽、最後に抱いた日のこと……思い出したか？」
大輝の目を見てコクンと頷いた。
「でも……あんなの見て、一緒にいられるわけない」
「……」
「あたし、そんなに強くないもん」
あの日のあの光景が脳内を占領してきて涙が溢れてきた。
そんなあたしを見ながら大輝は眉をハの字に下げた。
「俺さ、……二週間前までアメリカにいたんだ」
「えっ!?」
「最後に紗羽を抱いた日の数日前に、会社からアメリカ行きを言い渡された」
あまりに衝撃的な事実に言葉が出なかった。
「やっともらった内定だったし、しかも断ったらどうなるかわかっていたから、受け入れるしかなかった」
大輝は両手をハンドルに置いてそこに顔を埋めた。
「紗羽にはちゃんと言おうと思ったんだ。でも短くて二年、長けりゃ五年かそれ以上って言われて、そんなに待たせてもいいのかって……紗羽は待っていてくれるのかって……怖くて言えなかった」
「……」
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