行かないで

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玄関の鍵を開けて、電気も付けずにベッドを背もたれにして座った。 体育座りをして膝に顔を埋める。 その瞬間に涙が流れた。 何だかわからない涙。 あたし、何で泣いているんだっけ……? 今は…… 何も考えたくない。 そのままベッドに横になって目を閉じた。 ◇◇◇ ピンポーン…… ピンポーン…… 「ん……」 ゆっくりと目を開ける。 あれ? 真っ暗だ。 ピンポーン…… 再度鳴ったインターフォン。 今、何時なんだろう。 時計を手にとると、 「九時……」 大輝と別れて帰ってきたのが六時過ぎだったはず。 ピンポーン…… 気分的にあまり出たくはなかったけれど、インターフォンが何度も鳴り続けるからゆっくりと玄関へ向かう。 「はい?」 「俺、蓮」 鍵を開けると、蓮が立っていた。 「……寝てた?」 「うん、……入る?」 「ん」 少し眉を下げながら口を開いた蓮に中へ入るように促す。 部屋に入って電気をつけると、目が慣れていなくてぎゅっと目を閉じた。 「眩し……」
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