6943人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、その言葉に疑問がわいてくる。
どうして蓮は怒らないんだろう。
大輝と二人で出かけたのに……
帰ったら部屋へ行くって言ったくせに、行かなかったのに……
「何で?」
「ん?」
「何で蓮はいつもそんなに冷静なの?」
「は?」
あたしが逆の立場なら絶対にそんなに冷静ではいられない。
「あたし、大輝と二人で出かけたんだよ? 何で怒らないの? 蓮は、あたしが他の男と二人で出かけても平気なの?」
あたしが責められることはあっても、蓮がこんな風に言われるなんておかしい。
どこからどうみてもあたしが悪いんだから。
でもあまりにも冷静すぎる蓮に不安が募り、つい責めるように言ってしまった。
「……平気なわけねぇだろ! 行ってほしくねぇよっ! でも紗羽は、会ってちゃんと話をしねぇと乗り越えられねぇだろ!?」
「蓮……?」
「前に食堂から連れていかれた時も、今日突然半日連れていかれたって知った時も、俺、心ん中は嫉妬でいっぱいだったよっ」
蓮は頭を抱えながら最後は吐き捨てるような口調で話した。
蓮の本音は、普通に嫉妬する男の子だった。
それをあたしのために……と抑えてくれていたとも知らずに、あたしは凄くひどいことを言ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!