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「……ふ……くっ……」
蓮の姿が見えなくなったとたん、目から涙がぽろぽろと溢れてきた。
だから言いたくなかった。
蓮はきっと、大輝のキスを嫌がらなかったあたしのことを嫌いになったんだ。
やっぱり嫌われた。
離れていった。
嫌いにならないって……
離れていかないって……
そう言ったのにっ!
涙が止まらないよ。
そのままいつの間にか泣き疲れて眠ってしまったようで、深夜に凄く寒くて目が覚めた。
「寒い……」
下着だけを身に付けたままで寝ていたらしい。
「はは」
と、乾いた笑いが出た。
そのままスウェットの上下を着て布団に入った。
寒い……
頭もずきずきする。
風邪引いちゃったかな。
……そしてまた、眠りに就いた。
夢の中の蓮はいつものように笑顔で、凄くやさしくて、手を繋いだり抱き締めたりしてくれた。
目が覚めたら、いつものようにやさしい笑顔で「紗羽」って呼んでくれる蓮がいるといいのにな。
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