プロポーズ

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ピンポーン…… 「あ」 大輝がこの部屋にいたことに吃驚しすぎて、インターフォンが鳴っていたことをすっかり忘れていた。 「俺、出ようか?」 「は? ダメだよっ!」 「でも、紗羽歩ける?」 「歩く」 意地でも。 大輝に出てもらうわけにはいかない。 ベッドから降りて壁を伝いながらゆっくりと歩く。 「大輝はついてこないで。そこにいて」 一応、念を押しておいた。 ようやく玄関で「はい?」と声を出した。 「俺、蓮」 えっ!? 蓮!? ど、どうしよう…… 「紗羽? 開けて」 「……」 「昨日のこと、怒ってんのか?」 ほんとならすぐにこのドアを開けて蓮の胸に飛び込みたい。 でも、今は…… 「紗羽、誰?」 「ちょっ……」 いつの間にかあたしの後ろに立っていた大輝。 部屋で待っていてって言ったのに。 「彼氏?」 「……」 「俺が説明してやる」 大輝はそう言って玄関の鍵に手をかけた。 「だ、だめっ!」 あたしの声と大輝が鍵を開けたのはほぼ同時で。
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