プロポーズ

9/19
前へ
/358ページ
次へ
「俺さ、この二年半アメリカで一人で頑張ってみてすっげぇ自信ついた。ぜってぇに紗羽のことを幸せにする。もう二度と裏切らねぇ」 それだけ言った大輝はまた一歩前に出て…… 「紗羽、愛してる。俺と結婚してください」 その言葉に、どきんっ、と心臓が跳ねた。 まさかプロポーズされるなんて思いもしなくて…… あまりの驚きに声が出なかった。 「返事はゆっくり考えてくれていいから。……これ、置いていく」 あたしが寝ている枕の横に置かれたものは…… フタがぱかっと開けられたケースに入っている、キラキラ輝くダイヤの指輪。 「大輝、あたし……」 「待った! 今、返事すんな。一世一代のプロポーズだから、もっとゆっくりじっくり考えてほしい」 あたしの声を遮って放たれた言葉に、出かかっていた言葉が喉の奥で、くっ、とつまった。 「じゃあ、俺帰るわ。鍵もここに置いていく」 テーブルの上にチャリンと音を立てて置いた。 そして……大輝はそのまま帰っていった。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6943人が本棚に入れています
本棚に追加