プロポーズ

10/19
前へ
/358ページ
次へ
「……」 「……」 静かになった部屋の中。 頭がずきずきと痛むのに、それでもあたしの脳内は大輝のプロポーズのことでいっぱいだった。 「頭が、痛い……」 「大丈夫か? 病院に行く?」 独り言を呟いたつもりがすぐ横から大好きな声が響いてくる。 でも…… 「蓮、無理しなくてもいいよ。あたし、蓮に嫌われるようなことしちゃったし、もう……帰っていいよ」 そう言ったと同時に涙が溢れてきた。 ほんとは『帰っていい』なんて少しも思っていない。 傍にいてほしい。 だけど昨日のことを考えると、これ以上嫌われたくないという思いが脳内を占領して、こんなことを口走ってしまった。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6943人が本棚に入れています
本棚に追加