プロポーズ

12/19
前へ
/358ページ
次へ
「それでも良かったのに。……あたしの方が先に蓮を傷つけたんだよ? 無理矢理でも抱いてくれたほうが良かった。一人は寂しくて……やだよ」 昨夜蓮が部屋を出ていったあと、一人ぽつんと残されて…… 凄く寂しかった。 凄く悲しかった。 そのときの気持ちを思い出して目の奥が熱くなる。 「紗羽?」 「一人は嫌なのっ、一人にしないでよっ! ……ふぇっ……」 さっきとは対照的にやさしい瞳を向けてくれるから、瞳から大粒の涙が溢れてきた。 「紗羽、ごめん」 蓮は布団をまくって、そのまま包み込むようにぎゅっと抱き締めてくれた。 「蓮、もう一人にしないで……っ」 「紗羽、ほんとにごめんな。……つか、もしかして昨日あのまま寝たのか?」 腕が少し緩んで、蓮はあたしの顔を覗き込んできた。 「あのままって?」 「服着てなかっただろ?」
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6943人が本棚に入れています
本棚に追加