プロポーズ

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ガチャ…… この静かな空間で響いてきた音―― 玄関の鍵を回す音だ。 蓮かな? 手に持っていた指輪を元の場所へ戻した。 「あれ、紗羽? 起きた?」 「うん。どこに行っていたの?」 「買い物」 そう言いながらゆっくりと近づいてきた蓮は、すぐ目の前にしゃがんでそのままあたしの前髪を掻き分けてから額を大きな手で覆った。 「もう、下がったっぽいな……紗羽、体はどう? 怠かったりする?」 「ううん、なんかすっきりしてる」 「そっか」 そう言って蓮は微笑みながらあたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。 その笑顔にその仕草に、どきんっと胸が高鳴る。 昨夜はもしかしたら蓮はもうあたしの元へは帰ってこないかもしれないって思っていたから、この状況が夢のようで頬が緩んでしまう。
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