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「あー、ねみぃー」
「悟、寝不足?」
あたしたちがいる場所に真っ直ぐにやって来た悟があまりにもあくびばかりしているから夜は眠れていないのかと訊いてみると、晴希が隣で嬉しそうに口を開く。
「夜、頑張ってんじゃねぇの?」
しかもそのニヤけた顔を美香に向けて言うから、すぐに真に受けちゃう美香は頬を真っ赤に染めた。
「な、なに言ってんのよっ!」
「ナニって何?」
「晴希のバカッ!」
ふふ、この二人っていつもこんな感じでムキになっている美香が凄く可愛い。
♪♪♪~
そんな楽しい雰囲気に乗るかのように、携帯の着信音が鳴り響いた。
「あ、あたしだ」
バッグから携帯を出してディスプレイを見ると……
「知らない番号だ。誰だろ」
首を傾げながらもとりあえず出てみる。
「もしもし?」
“あ、紗羽? 俺……”
この声は……
「……大輝?」
あたしがそう呟いた瞬間、前に座る三人の視線が一斉にこっちを向くのがわかった。
“ん、……元気だったか?”
「うん。あたし、大輝の番号を知らなくて連絡できなかった」
“はは、そうだな。でもその方が好都合だったよ。考える間もなく、すぐにかかってきて断られそうだったからさ”
「……」
バレてる。
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