大切な思い出

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「あいつって……」 「あいつ?」 突然大輝の口から発せられたその言葉。 曖昧すぎて誰のことかわからず首を傾げた。 大輝はそんなあたしに、ふっと笑いながら口を開く。 「その蓮ってやつ、見たことねぇけど年下?」 あ、蓮のことか…… 今、あたしが自分から蓮の名前を出したんだった。 「うん、三つ下」 「三つ? そんなふうに見えねぇな」 「時々蓮のほうが年上じゃないかって感じる」 「紗羽、子供っぽいとこがあるから余計じゃね?」 「はは、そうだね」 蓮は外見だけじゃなく中身もほんとに大人っぽくて、いつもあたしがよしよしと頭を撫でられているような感じなんだ。 「そういや、晴希は俺のことを嫌いになってっかな?」 「え、何で?」 「この間会った時見損なったって顔されたからな」 大輝の横顔が凄く寂しそうに見える。 晴希が大輝を尊敬していたと同時に、大輝も晴希のことを物凄くかわいがっていた。 あれだけなつかれたら離れられると寂しいんだよね、きっと。
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