パーティー

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「てかさぁー、紗羽。この間掃除して、なんかネタになりそうなものは見つからなかったの? あたし、いろんなところを開けて探そうと思っていたのにさ」 気まずい空気を壊すように口を挟んできた美香。 しかも『ネタになりそうなもの』って、美香らしいなぁ。 「はは、何もなかったよ。でもそうだね、その辺とかあの辺とか開けてみれば良かったかも」 「こえー、美香がいなくて良かったよ」 「あれ? 美香掃除しなかったのか?」 首を傾げながらそう言った悟。 知らなかったんだ。 「それがね、ここに向かう途中、電話がかかってきてさ、“今あんたんち着いたけど、いつ帰ってくんの?”って母親が」 「ふふ、あの慌てっぷりは凄かったよね」 あの時の美香の様子を思い出して自然と笑みがこぼれる。 「はは、確かに。うるせーの何のってな? 美香が降りてからの車内はすっげぇ静かだった」 「ふふ、そうだったね」 晴希も思い出したのか、笑いをこらえながら話す。 そんな中、その隣で美香が勢いよく身を乗り出して口を開いた。 「晴希、それでどこに隠してあるの?」 「は? 何を?」 「エッチなものよ。独り身だったら特に必要でしょ?」 なんて、目を輝かせながらそう言ったけれど、かなり酔ってるなぁ。
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