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アパートに帰ってくると、自分の部屋には入らずにそのまま蓮の部屋のインターホンをならした。
蓮の姿を見るなり抱きついた。
「蓮っ、ただいまっ!」
「おかえり」
大好きな笑顔にほっとする。
そのまま蓮の部屋に入り、蓮にピッタリとくっついて座った。
しばらくそうしていたけれど、初詣に行こうという話になって近くの神社へ向かった。
お賽銭を投げて、手を合わせる。
“蓮とずっと一緒にいられますように”
心の中でそうお願いしたけれど……
三年前“ずっと大輝と一緒にいられますように”とお願いして、叶わなかったことを思い出した。
やっぱり今回も叶わないのかな。
そんな負の考えばかりが脳を掠める。
一年の始まりからこんなんじゃダメだよね。
なんて考えていたら、蓮があたしの顔を覗き込んできた。
「紗羽は何をお願いした?」
「え、なーいしょ。蓮は?」
「俺も秘密。話したら叶わないって言うもんな」
なんて言う蓮の笑顔を見ながら、『話さなくても叶わなかったよ』と言いそうになってしまったけれど、その言葉をゴクンと飲み込んだ。
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