浮気

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「ただの、やきもち」 「最近の蓮くんの人気は普通じゃないもんね。あたしが紗羽でもおかしくなりそう」 「美香ぁー」 わかってくれたことに嬉しくなり、向かい合って座っていたけれど、美香の隣に移動して抱きついた。 「よしよし」 あたしは美香が柔らかく頭を撫でてくれる“よしよし”が大好き。 「紗羽、今夜は一緒に寝ようか」 「あはは、それ、いいね」 「なんだ? 紗羽に美香をとられんのか?」 「あ、悟。終わったの?」 「おー」 いつの間にか講義が終わって、晴希と一緒に戻ってきた悟へ視線を向ける。 いつもの爽やかな笑顔を見ていると、何でも言うことを聞いてくれそうな気がする。 「悟……美香をあたしにちょうだい」 「紗羽? どうしたよ?」 あたしの弱々しい言葉で、悟の中のお兄ちゃんが目を覚ました。 大輝のことで落ちていた時、いつもこうやってお兄ちゃんのように話を聞いてくれた。 そんな悟を見ていると、あたしの中の弱い部分が出てきてしまう。
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