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「そんな顔でバスに乗るわけ?」
晴希はそんなことを言ったけれど、そんな顔ってどんな顔?
訳がわからなくて眉を寄せた。
「おまえ、泣きそうな顔をしてるけど」
「えっ」
確かに女の子が蓮にベッタリとくっついている姿を見て泣きたい気持ちにはなったけれど、まさか表情にまで出ていたなんて思わなくて。
しかもそれを晴希に気付かれちゃうなんて。
「大丈夫だから」
だけど晴希に甘えるなんてことはできないから、そう言って掴まれた手を離そうとするけれど、
「晴希?」
離すどころか、さらに握る手に力を込めた晴希。
「離してよ」
「やだ」
そう言って、晴希はあたしの手を掴んだまま来た道を戻り始めた。
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