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「蓮は絶対に裏切らないって言ったのにっ……信じなきゃ良かった」
蓮なら信じられるって思ったのに。
また涙が溢れてきた。
「あたしには男の部屋に一人で行くなって言ったのに、自分は女の子を部屋に入れるなんて……どこが違うの?」
そのまま目の前の晴希に視線を合わせる。
「ん、違わねぇな。でもさ、蓮だって何かわけがあったかもしんねぇし」
晴希はあたしの気持ちを軽くしてくれようとそう言ってくれたけれど、あたしはそれを素直に受け取れない。
「何かわけがあったら……キスをしてもいいの? そんなのおかしい」
「……」
「もう、やだぁ……」
体育座りした膝に顔を埋めて泣き続けた。
そういえばさっきからずっとポケットの中で携帯が震えている。
絶対に……蓮から。
一息ついて、携帯を手にとる。
また、震えた。
《着信 蓮》
でも出る勇気がなくて、そのまま電源を切った。
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