6944人が本棚に入れています
本棚に追加
.
夢を見た。
蓮が「紗羽、バイバイ」と笑顔で手を振りながら去っていく……
そんな夢。
現実になるのかな……
「……わ……さわ……」
「……ん……」
重い瞼を上げると目の前には晴希の顔。
でもボヤけている。
あ……、あたしが泣いているんだ。
夢の中でも振られるなんて……
もうダメなのかな。
そう思ったらまたぽろぽろと涙が溢れてきた。
晴希が涙をやさしく拭ってくれるけれど全く追い付かない。
朝からずっと泣きっぱなしだし、酷い顔をしているんだろうな。
「今度は枕まで汚しちゃった。……ごめんね」
「だから気にすんなって言ってんだろ?」
「でも……」
ここに来てからのあたしは、触れるもの全てに涙のあとを残している気がする。
「紗羽、座って」
突然晴希の口から発せられた言葉に、首を傾げながらも起き上がって座る。
その瞬間、ふわりと晴希に抱き締められた。
最初のコメントを投稿しよう!