やっぱり好き

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でも―― 「紗羽、好きだ」 耳元でやさしくそう囁かれて―― ふっ、と我に返る。 『紗羽、好きだ』 蓮からはずっと聞いていない言葉。 今になって胸が、ずきん、と痛んだ。 晴希があたしの中に入ってこようとした、その瞬間―― 涙がぽろぽろと溢れてきた。 やっぱり、あたし…… 「は、るきっ……ごめ……あたし、やっぱり……れんが、好きっ……ごめ……」 両手で顔を覆って、子供が泣きじゃくるようにわんわん泣いた。 「紗羽……」 やさしく放たれた晴希の声。 それと同時に、ふわりと抱き締めてきた。 「晴希、ごめ……」 晴希の胸で泣いているうちに、またいつの間にか眠りに就いていた。
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