やっぱり好き

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なにも言えなかった。 「……晴希さん、どういうこと?」 えっ……晴希? ここが晴希の部屋だってことはわかっていたはずなのに、今蓮とのことでいっぱいいっぱいで晴希がいることはすっかり忘れていた。 部屋の中を見渡すと、晴希はドアに寄り掛かって立っている。 「蓮だって、人のことは言えねぇだろ?」 「は?」 「朝から部屋に女連れ込んで? ヤることヤってたんじゃねぇの? あっ、もしかして朝からじゃなくて、前の晩から?」 「ちげぇよ! あの女が勝手に部屋に入ってきたんだよ! 勝手に抱きついて……キスしてきたんだよっ!」 蓮の口から飛び出した、真実。 ほんと、なの……? 「へぇー、口じゃ何とでも言えるよな? それに、もしそれがほんとでも蓮に隙ありすぎだろ?」 「……」 いつになく、蓮を責め立てる晴希。 蓮はそれを黙って聞いている。 「最近の蓮を見ていたらさ、紗羽が可哀想だったよ。おまえさ、紗羽がどんだけ悩んでいたか、どんだけ不安がっていたか、どんだけ泣いていたか……知ってんのか?」 いつの間にか、あたしの心の内を代弁するように話し始めた晴希だけれど、あたしがちゃんと蓮に言えていればよかったことなんだ。 「晴希、もういいって」 「いいわけねぇだろ? ……今の蓮だったら、ぜってぇ俺の方が紗羽を幸せにできる」
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