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「晴希さん、紗羽に手ぇ出したんすか？」
「さぁ、どうだろうな。でもさ、見りゃわかんだろ」
「……んだとッ……！」
なぜか挑発するように言った晴希。
そんな晴希の胸ぐらを蓮が素早く掴んで左頬を殴った。
「……いっ、てぇー。……つーかさ、俺だって、おまえのこと、殴りてぇんだけど」
そう言って、今度は晴希が蓮を殴った。
あまりにも流れるような行動に、あたしは手を出すことはもちろん声も出なくて……
ただの傍観者になってしまっていた。
そんな状況の中で晴希が静かに口を開く。
「なあ蓮。おまえは紗羽が三年前にどんだけ傷ついたか、俺より知っているよな？ 不可抗力とはいえ、何で同じことをすんだよっ！」
「……」
「それに……最近女ばっか引きつれていてさ、紗羽だけじゃ足りねぇの？」
晴希が蓮のことを鋭い視線で睨み付けている。
こんな晴希は初めて見る。
「……んなことねぇよ。紗羽だけいてくれりゃいい」
「じゃあ何で突っぱねねぇんだよ！ 毎日女ばっかはべらせてんじゃねぇよ！」
「めんどくさかったんだっ！ 突っぱねてグダグダ言われんのがイライラした。だから放っておいたんだ」
蓮の、本音。
そうだったんだ。
好きで連れていたわけじゃなかったんだ。
その言葉に凄くほっとした。
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