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「なんか晴希さん、余裕あってムカつく」
「そんなふうに見えるか？ 俺はただ好きな女を守るために必死になっているだけだ」
どきんっ……
不覚にも晴希の言葉に胸が高鳴ってしまった。
「やっぱ、ムカつく」
蓮は心なしか、少し口を尖らせている気がする。
「はは、ライバルとして見てくれんの？」
なんか、今の晴希はいつもとは別人だ。
凄くかっこよく見えてしまう。
だけど――
「要注意人物としてチェックしておきます」
そう言った蓮に「ふふ」と笑いがこぼれてしまった。
だって、晴希が要注意人物……
ピッタリすぎて笑える。
「紗羽、何笑ってんだよ」
晴希が睨みながらそう言うけれどやっぱり可笑しくて。
「だって要注意人物って……そのままなんだもん」
「おまえっ、覚えてろよ」
「ふふ、もう忘れちゃった」
いつもと変わらない空気に、そのノリに、安心しきっていたけれど、
「紗羽、服着ろ」
隣からの蓮の低い声で我に返る。
蓮が怒っている。
当たり前だよっ！
「ご、ごめんなさい」
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