6943人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ
桜を見上げながら、思い出すのは蓮とのことばかり。
蓮と出会った日、この桜の木の下で涙を流した。
だからこそ、蓮と出会えた。
サークルの顔合わせの日、蓮と隣り合わせに座った車の中から見た桜に、泣き崩れた。
あの時言葉はなかったけれど、隣にいる蓮が凄く気を遣ってくれていたことを今でも覚えている。
蓮と温泉旅行へ行った後、『ピンクじゃない桜を見に行こう』と蓮に言われて、たかがグリーンの桜の木なのに乗り越えるのに二ヵ月かかった。
でも、いつも傍には蓮のぬくもりがあった。
清々しいほどの夏の海と空のブルーが嫌いだった。
永遠なんてないってわかった場所だから。
でもその海で、蓮への気持ちに気付いた。
ただ手を繋ぐことが、心がウキウキするほど嬉しいことだったのを思い出した。
最初のコメントを投稿しよう!