プロローグ

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私は推理作家の長谷川誠治だ。 推理作家。と言えば聞こえはいいが、実際の生活はバイト三昧。 バイト先で暇すぎるために書いた推理小説が出版社に認められ、この度、新作を書かなければならなくなった。 推理小説を書いているとわかる、いや書かなくてもわかるが、ホームズなど主人公を飾るにふさわしい人物は現実にはそう居ないものだ。 推理小説だけでなく恋愛や青春物など、そういった奇跡に近いことなどいくつも転がっていない。 まぁ、いくつも転がっていては奇跡ではないのだが。 だが、奇跡が起きるということはまだ良い。起きないよりかは随分とましである。 それよりも問題は奇跡の起きない物語や小説だ。 昨今の小説には、どうやら奇跡は起きないままバッドエンドという形が多い気がする。 また、私がこれから執筆してゆく、『中野歩夢との思い出』の覚書、全4作のラストもバッドエンドなのである。
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