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「寝てんなよ、レイル。」
フェリーの客室で転寝をしているレイル・コンスタンティンノーブルは起こされた。寝惚け眼を擦り、涎が垂れていた口元を拭ってレイルは起き上がった。紺色の髪には寝癖が付いていた。
「椅子を三つも使って寝られる身分かよ、てめぇは。」
スヴェイン・アグリューは寝癖だらけのレイルの髪を乱暴に直して云った。線の細い顔は不機嫌そうになっていた。薄い麦わら色の髪に灰色の瞳が鮮やかに光る。外は晴天で、窓から日光が射しこんでいた。
「ごめん。」
「寝惚けてんぞ。さっさとしゃきっとしろ。」
レイルの寝癖を粗方直して、スヴェインは隣に座った。
「一応理事長って人にも会うんだからよ。ちゃんと身嗜み直しとけ。」
「厳しいなぁスヴェインは。前はそうでも無かったのに。」
「いい加減学習しとけよ。施設で散々教わったろ。」
「・・そうだね。」
レイルは頬杖を着いて緩んだ頬を締めた。スヴェインは横目で見て溜息を吐く。
「学校、どんなとこだろうな。皆で、同じ部屋で、机を並べて勉強する場所か?」
「詰まんないなー、それ。」
「毎日ティムとリリアに泣かれるよかマシだろ。」
「確かに。」
ティムとリリアは失われた家にいた最年少の二人だ。二人が三歳から七歳になるまでいたが、泣き虫でレイルとスヴェインはよく慰め役になっていた。
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